
words #1 'Good morning, I wish I could fly, never mind'
ペンギン
ペンギン
ペンギン
そう心の中で連呼していました。たまに口にも出していました。
今回のコレクションの大きな要素の一つとして「ペンギン」があります。
きっかけは、たまたま去年の夏に、ペンギンのプリントと一緒に「I wish I could fly」と書かれていた古着のTシャツを見つけた時でした。
単純にかわいいな、と思ったのと同時に、自分自身を飛べないペンギンに投影していました。
「自由に空を翔ける鳥であったなら」
常にニッチな選択をしてきた自分は、空を飛ぶことに憧れていたのかもしれません。
しかし、僕はブランドを通して、「ニッチの肯定」をしたいなと思っています。
多くの人が納得する常套句に納得できないような、
多くの人が軽やかに飛ぶようにできる事ができないような、
ニッチな人たちに「これでいいんだ」と思ってもらえるようなコレクション。
空を翔ける事に憧れを抱きながら、歩いていく。
歩いて行ったその先に、とても素敵な情景が待っている。
と、僕は強く信じています。
そんな飛べないペンギンとニッチを重ねながらコレクションを作りました。
ブランド10年を前シーズンで迎えて、「ニッチの肯定」という新しい目的地ができました。まるで、まだ月が浮かんでいるような朝に夜行バスを降り立ち、次の目的地へと向かう「目的地への目的地」に降り立った感覚です。
ですので、今回のタイトルは’Good morning, I wish I could fly, never mind’となりました。
うだうだ大層なことを書いていますが、結局いつも言いたいことは、
歩きながら、道草食いながら、見る情景も素敵ですよ
ということなのでしょうね。
ランウェイで使用させていただいたくるりの「グッドモーニング」の最後にもこう繰り返して終わります。
「歩いてゆく」
Shinya