ISSUE #2 · 2023 SS
'FRIDGES IN THE AIR'
きっかけはBRUCE WEBER(ブルース・ウェーバー)氏が撮ったMARGARET HOWELL A/W 2001 のルックブックを見た時でした。
自身の中でのBRUCE WEBER 氏の勝手なイメージは、「真夏の海辺」のような像を撮る人でした。
その残像が残ったまま見たせいか、秋冬のルックのはずなのに夏を感じる違和感を覚え、何だかとても素敵だなと感じました。
紐解いていくと、感動の正体はコントラストであると思いました。
ファッションがファッションとして佇む理由の一つはコントラストであると、昔から常々思っています。
色であったり、シルエットであったり、素材であったり、仕草であったり、季節であったり、情景であったり。
コントラストが一つの容器に入っている状態それがファッションである、と。
「真夏に大雪を降らしたい。」
そんな単純で短絡的な発想が今回のISSUE の出発点となりました。
真夏に大雪を降らせるということは、「まやかし」を作ることだと思います。
ファッションとは、と今問われると「まやかしだ」と答えます。
切り取り方では非常に言葉が悪いと思いますが、我々は、そのまやかしで彩り、自信を持ち、癒されてきたと思います。
イミテーションの緑道で恋人と歩いたり、イルミネーションの景色を綺麗と思ったり、
人工の滝で癒されたり、キャンプに行き、川の水で冷やすより、
冷蔵庫でキンキンに冷えたビールの方が美味しかったり。
嘘やイミテーションの持つ力を最大限に、声高らかに肯定すること。
「嘘、嘘」と笑顔で言うこと。
それがファッションの良い所であると思っています。
絵空事を描きたいなと、考えるようになりました。
(…)
初めのきっかけから「冬」や「寒さ」というキーワードの元、
リサーチを進めていくと、潮田登久子氏の「冷蔵庫」という写真集と出会いました。
あらゆる家庭の冷蔵庫の閉じた状態と開けた状態の写真を淡々と並べている
ドイツ人の写真家ベッヒャー夫妻の作品が代表的な
形式やルールに従って撮影や作品制作を行なう「タイポロジー(類型学)」を感じる写真集なのですが、
この写真集と自身のファッション観がぴたっと重なりました。
冷蔵庫は、使用目的は同じ、見た目もほぼ同じ、
中身にその人の生活感や価値観が出る。
上記の要素が、ユニフォームを着ることによって、あえて見た目の個性をなくすことによって、
その人のパーソナリティが浮き出るという勝手に自身で呼んでいる
「卒業アルバム、この子かわいい理論」と同じだと気づきました。
「卒業アルバム、この子かわいい理論」というのは、
高校で出会って仲良くなった友人とお互いの中学の卒業アルバムを見た時に
「この子かわいい」といった話に多くの頻度でなると思い、
なぜその話になるのだろうと理由を考えたときに、
制服によって顔以外の情報が均一化されることによって純粋に顔のみに注目が行くという考えで、
均一化することでその人のパーソナリティ・資質が浮き出るのではじゃないかという理論です。
私がユニフォームやワークという要素を基本に置いているのは、こういう考えからです。
そんな勝手な理論と重ねながら、冷蔵庫についてもう少し考えてみると、
冷蔵庫というものは、基本的に玄関からは見えない場所に設置してあって、
パーソナルな空間のパーソナルなものであり、非常にファッションしているな、と思いました。
冷蔵庫は、自身にとってのファッションの代名詞の一つになりました。
絵空事を英語で言うと、‘CASTLES IN THE AIR’
今回はファッションで絵空事を描きたいということで、自身のファッション観の代名詞を用い、
‘FRIDGES IN THE AIR’とタイトルをつけ、下記のキーワードの元、制作しました。
1: FINE FEATHERS MAKE FINE BIRDS:馬子にも衣装
ユニフォームというアイデンティティを示すとともに、それを消し去るという二律背反の要素を入れ込み
服の、その人のパーソナリティを見出したいです。
2: ARTIFICIAL FOX:イミテーション
日本語でも英語でも騙すやごまかすという意味がある狐を、隠喩的に使用し、
イミテーションや添加物や嘘、本物でなくてもパワーや役割があり、素敵だと言いたいです。
3: FABLE DRAWING:絵に描いた餅
今回のデザインを寓話的と言われる私のカトゥーンチックなドローイングで描き、
そのドローイングのバランスで再度デザインに起こしています。
絵の中でしか成立しないバランスをそのままデザインに反映させています。
先日、大御所ミュージシャンのライブに足を運びました。
とても大きな会場で、長いキャリアの凄みを見せつけられ、
何よりも最新の曲がとても端的で完結で単純に「凄いな」と思いました。
やはり、端的で完結にやるということは、モノを作るにあたって非常に強いことなのだなと、思いました。
ただその一方で、
ここまで長いキャリアの紆余曲折がある中で出た完結な結論だからこそ、
その強さが出るものなのだろうとも思っています。
そして、今の軽薄児な私が端的なコンセプト・テーマ・モノづくりをやったとしても
このミュージシャンを超える潔さは出ないだろうなと実感しています。
ですので、
端的で、
完結で、
潔く、
形容が全くできない、
エッジの端の端の端っこのモノが
心の奥から出てくる日まで
私はウダウダ長ったらしく
ああだこうだ
ああでもないこうでもない
と、つらつらと言い続けようと思います。
ここまで自分自身で読んでいても、ひねくれているなと思いますが、
これが現在のSHINYAKOZUKA の精一杯振りかぶったストレートです。
ストライクが取れたらいいな
と思います。
ISSUE #2
'FRIDGES IN THE AIR'